「旦那捨てたい」に神回答 横浜市のごみ分別AIがまるで人生相談

横浜市資源循環局がホームページで公開しているチャットボット「イーオのごみ分別案内」がツイッターで話題です。LINEのような画面に、捨てたいごみの名前を入力すると、マスコットの「イーオ」が捨て方を教えてくれるサービスなのですが、ここに「旦那」と入力した人が現れると、絶妙な回答が…。開発の背景を聞くと、AIと人間のコラボレーションが生まれていました。

出典 https://withnews.jp/article/f0170816003qq000000000000000W06910101qq000015743A

的確すぎる回答

「ゴミの出し方聞いてみたら的確な答えが来てビックリ!」というコメントとともに、ツイッターに投稿された画像が話題になっています。

「イーオのごみ分別案内(実証実験中)」と書かれた画面。捨てたいごみの名前を入力すると、捨て方を教えてくれるといいます。

ごみの名前を教えてくれたら、捨て方を案内するよ。

そこに投稿者が「旦那」と入力すると、こんな答えが…。

本当に‼︎「人間は判断力の欠如によって結婚し、忍耐力の欠如によって離婚し、記憶力の欠如によって再婚する」ってアルマン・サラクルーは言っていたよ。忍耐力を鍛えてみたら、どうかな。

フランスの劇作家、アルマン・サラクルーの言葉を引用した秀逸な回答に「素晴らしすぎる返し(笑)」「凄い的確なお答え」など、反応が集まっています。

「イーオのごみ分別案内」とは

「イーオのごみ分別案内」は、横浜市資源循環局とNTTドコモが実証実験しているサービスです。
AI(人工知能)を利用した「チャットボット」と呼ばれる対話できる技術を活用し、LINEのような画面でごみの捨て方を案内してくれます。
会話の相手の「イーオ」は、横浜市が取り組んでいる、分別・リサイクルなどを進める計画「ヨコハマ3R夢(スリム)!」のマスコットです。

横浜市資源循環局3R推進課の担当者によると、もともと横浜市ではごみの分別方法を検索できるシステム「ミクショナリー」を持っていました。
ただし、「ペン」と検索すると筆記用具だけではなく、サスペンダーの「ペン」の部分も該当して表示されるなど、一部わかりづらい部分もありました。
またLINEなどに慣れている人には、検索画面より会話形式の画面の方が、気軽に利用してもらえるのではという考えがあったといいます。
横浜市が行政と民間の連携のために設けている窓口「共創フロント」に、NTTドコモから「人工知能を使って何かやりませんか」と提案があり、「ミクショナリー」のデータを使ってごみの分別を案内する「イーオのごみ分別案内」が2017年3月に生まれました。
このチャットボットの開発期間はおおむね4カ月。NTTドコモが開発した「Repl-AI(レプルエーアイ)」を使用して作成されました。
LINEのような優しい使い勝手で、多様な情報へアクセスできる、それがこのチャットボットが提供できる価値だったといいます。
「ごみ分別に関する知識や関心の向上につながる情報発信を強化できるのでは」と考え、提案したそうです。

横浜市の「ミクショナリー」では、利用者の検索を記録し、未登録の品物を加えながら2万語以上蓄積してきたといいます。
記録では、「旦那」や「嫁」など、「ごみ」ではないはずのものも検索されていたそうです。
そこで今回チャットボット化する際に、「これまで登録してこなかったこのような言葉も、答えることができたら面白いのではないか」というアイデアが出て、実現することになりました。
なんと、あの「旦那」に対する回答は、横浜市資源循環局の職員の方が考えたといいます。
担当者は「文言は関係する職員みんなで考えました。名言などを引用し、困って入力されている方が不愉快にならないよう、想像しながら決めました。個人的な意見が入っている訳ではありません」と話しています。

「旦那」だけじゃない、こんな回答も

「ミクショナリー」で検索頻度が高かった品物や、面白い検索ワードなどは、「イーオのごみ分別案内」では一工夫した返事を用意しているといいます。

例えば、「結婚」と入力するとこんな答えが。

「結婚は多くの苦悩を生むが、独身は何の喜びも生まない。」ってサミュエル・ジョンソンが言ってたよ。今日は寝て、明日もう一度考えてみようか。

人生のお悩み相談のような回答ばかりではありません。
「ライター」と入れると、注意を呼びかける言葉も。

捨てたいものが、ライター(使い捨てガスライター)なら、捨て方は、燃やすごみだよ。
中身を使い切ってね。故障等で中身が出せないものは 収集事務所 に相談してね。
ライターのガスが残っていたため収集車が燃えてしまったこともあるんだ。中身は使い切ろう!

調べたところ、他にも「人生」、「怒り」、「彼氏」などの言葉にも対応しています。
チャットボット、電話のやりとりのようにNTTドコモは現在、横浜市以外にも、民間企業にチャットボットに関する技術提供を行っています。チャットボットの技術は、 将来的には生産年齢人口が減少する社会に役に立ち、人間に代わって働く役割で普及していくと想定しているといいます。現在の技術特性においては、問い合わせの対応や顧客サポートの領域が、特に適合するのではないかと考えているそうです。

横浜市資源循環局の担当者は、検索で結果が得られなかったとしても、こちらから問い直せることが、会話形式の利点だといいます。
「イーオのごみ分別案内」では、登録されていない品物を入力すると、素材は何か問いかけられます。「利用者との電話のやりとりのように、更に分別を案内できるようになった」と話します。
また「自転車の手数料は?」などの質問を入力すれば、粗大ごみの手数料を案内してくれます。
これまで粗大ごみの手数料は、問い合わせが多く、電話がつながりづらい場合もあったそうです。「電話がつながらないときも、チャットボットを使って解決できれば」と期待しています。

気軽に使ってみてほしい

担当者は、「『旦那』のようなネタ系でもいいので、気軽に使ってみてほしいです。『ここに来ればわかる』と知ってもらえれば、困ったときもお役に立てるのではないかと思います」と話しています。
記事中では紹介しきれなかった回答もたくさん。他にどんな回答がもらえるか、試してみてはいかがでしょうか。